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最高裁判所第三小法廷 昭和57年(行ツ)101号 判決 1982年10月19日

三重県四日市市尾平町三二四八番地

上告人

佐藤たまゑ

同所同番地

上告人

佐藤要

三重県四日市市尾平町三一八八番地

上告人

村山きよみ

四日市市八田一丁目四番四号

上告人

平井英子

四日市市尾平町三三五八番地

上告人

佐藤隆

四日市市尾平町二九三七番地の一

上告人

佐藤征司

右六名訴訟代理人弁護士

川嶋冨士雄

三重県四日市市西浦二丁目二番八号

被上告人

四日市税務署長

水本弘美

右当事者間の名古屋高等裁判所昭和五五年(行コ)第一三号所得税更正等処分取消請求事件について、同裁判所が昭和五七年四月二八日言い渡した判決に対し、上告人らから全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人川嶋冨士雄の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであって、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 木戸口久治 裁判官 横井大三 裁判官 伊藤正己)

(昭和五七年(行ツ)第一〇一号 上告人 佐藤たまえ 外五名)

上告代理人川嶋冨士雄の上告理由

民事訴訟法第三九五条一項六号による上告理由は次のとおりである。

(一) 被上告人は本件土地の価格を坪単価二万三、〇〇〇円として、総額金二、〇七〇万円と主張する。

(二) また、被上告人は交換地を近畿商事こと黒木実が取得して、それがたな卸資産として、訴外亡佐藤太蔵に譲渡したと主張する。

(三) ところが、本件土地の評価が坪単価一万三、〇〇〇円~1万四、〇〇〇円であることは本件土地の売買実例から明らかであり、妻名義の共有地が坪単価一万五、〇〇〇円で売却されているが、右共有地より本件土地の隣地が安く取引されていることも明白な事実である。

さすれば、本件土地も坪単価一万三、〇〇〇円~一万四、〇〇〇円で評価(総額一、二六〇万円)され、訴外安達六一の土地(評価は坪単価一万一、〇〇〇円で総額約一、三〇〇万円)との間で等価交換されたものである。

(四) また、訴外亡佐藤太蔵らは訴外安達六一所有の土地が訴外近畿商事こと黒木実に買い取られているなど全く知らずに、右黒木実の従業員高木広行、清水善助らに仲介してもらって、訴外安達六一との間で交換契約を締結しているのである。

(近畿商事が買い取っていることは本訴において、はじめて知ったものである。)

(五) ところが、第一、二審裁判所は証人高木広行らの偽証を全面的に信じて、さらには、いかにももっともらしい話しをつくりあげて、上告人が損をするが如き価額での交換に応じるのはいかにも不自然であるといわゆる「うがつた」見方をして、まんまと裁判所をたくみに利用した被上告人や証人高木広行らの口車に乗ってしまっているのである。(被上告人は上告人が金七七〇万円を受領していないことは熟知しているにもかかわらず、右高木広行や黒木実らが一方的に脱税工作のために作成した乙第一、二号証により右証拠を提出すれば、裁判所は金七七〇万円を上告人に渡したと認定するであろうと、裁判所の世間の実体を知らない弱味につけこんで、強引に更正決定を出して、裁判所を利用したものである。被上告人は乙第一号証の一月二〇日の金七七〇万円の出金と乙第二号証の一月二一日の佐藤多蔵へ手付金七七〇万円との記載を合わせば裁判所は騙されるとあらかじめ予定していたものである。これらの証拠が信用出来ないことは脱税のための無記名や仮名預金の乙第七号証乃至第九号証を利用したり、乙第一四号証の妻名義の預金で資金操作をしていた高木広行らの言動から明白である。)

(六) しかし、訴外亡佐藤太蔵や上告人らは朴訥な農民であり裁判所が認定したような売手として優位にたち、人の弱味につけこんだ取引などすることなど全くなく、このような判断は裁判所がいかに悪に毒されているかを如実に物語っているといわねばならない。

訴外亡太蔵や上告人らは本件土地と訴外安達六一との交換がなされれば充分であって、仲介に入った高木らも契約書等を作成せず、上告人らもそのような書類など全く必要としなかった。

以上の考察から明らかなとおり、第一、二審判決には、本件土地の評価の点で理由を附せず、さらには、その理由に齟齬があるといわねばならない。裁判所は弱小且善良な市民のために、謙虚に事実をしっかりと判断して、決して利口ぶって、うがった見方をしてはならないのである。

最後のとりである最高裁判所において、とりかえしのつかない判決を直ちに破棄して、途方にくれている上告人らを救っていただきたい。(このままだと納めるべき金はどこから出てくるのか。)

以上

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